1990年代、車椅子に採用されて以来、当時は珍しい低反発クッションとして、日本で広まったメモリーフォーム。現在でも医療機器や介護用品、乳児向けの頭蓋形状矯正ヘルメットなど、体に触れる部分にベストなクッションとして使われています。村瀬鞄行のランドセルのほか、世の中でみかけるランドセルでも、体に触れる肩ベルト裏や背当に採用されているのをみかけます。
これではせっかくの低反発性の効果を、十分に得られなくなってしまいます。村瀬鞄行のランドセルでは、肩ベルト裏・背当どちらも10mmのメモリーフォームを採用しています。しっかりとした厚みのメモリーフォームによって、はじめて重量が分散された状態で背おうことができるのです。
どれだけ厚いメモリーフォームを使っても、縫製するときには限界まで押さえつけることになります。しっかり押さえつけても、メモリーフォームの反発力で油断するとミシンがあらぬ方向に進んでしまうため、通常よりもゆっくり気を遣って縫う必要があります。 単純なミシンがけで比較しても、時間の差は約2倍。ほかにも縫う前の貼り合わせや、革の伸びなど調整が難しい部分が多く、厚いメモリーフォームは鞄職人泣かせな素材なのです。 そんなメモリーフォームをなんとかランドセルに使いたいと、村瀬鞄行では試作のベルトを何十本も作り、ようやく製品化にこぎ着けました。あらゆる大きさ、製造工程、構造を試したことで、より子どもたちに優しい「しっかりカーブベルト」が誕生したのです。